カテゴリー別アーカイブ: 電動バイク入門!

スマートに乗る”キモ”

電動バイクの特性を知ってスマートに走ろう!

電動バイクを安全に乗りこなすためには、その特性を知っておく必要がある。ガソリンバイクの感覚に慣れてしまっている私たちは、つい電動バイクも同じように考えてしまいがちだが、別の乗り物として考えたほうがよさそうだ。 

まずは出力特性。同クラスのガソリンバイクと比べてみよう。たとえば、国内では原付1種(50cc以下)とみなされる定格出力600wクラスの場合、最高出力は1psに満たない。これは50ccスクーターと比べると3分1以下である。つまり絶対的に速度が低いのである。ということは、交通の激しい幹線道路などでは流れに乗れない可能性が出てくる。1000wクラス以上であれば、それほどパワー不足を感じることはないと思うが・・・。 

ではクルマや通常のバイクと一緒に走れないのか、というとそんなことはない。最近は自転車通勤の人も増えてきたが、自転車も「軽車両」なので、本来は車道を走る乗り物である。600wクラスの電動バイクに乗る場合、まずは自転車と同じと考えてほしい。

公道での”キモ”はすべてのモビリティと変わらない

自転車なら急に加速はできないので当然、信号待ちでもクルマの前には陣取らないし、渋滞でもなければ追い越しもかけないだろう。
 
ラインだって「キープレフト」を守って、2車線あれば一番左の車線の左端に寄って走るだろう。また、登坂能力も劣るため、ちょっとした上り坂でも速度が急に落ちることがある。坂の多い場所ではこれを見越して、後続車に追い越されても安全な走行ラインを走るように心掛けたい。
 

特に危ないのが路肩に駐停車している車両を追い越すときなど。キープレフトで走行していれば当然、駐停車車両を避けるために進路を変えざるを得ないが、周囲との速度差が大きいと後続車と接触してしまう可能性が出てくる。
 
そうならないためには、「早め」「長め」のウインカーで「意志表示」をはっきり周囲に伝えることが大事だ。場合によっては手を挙げて強調してもいい。現にベテランの自転車乗りにはそうしている人が多い。 

早めの意志表示のためには、早めの状況判断が必要だ。電動バイクに限ったことではないが、ドライバー(ライダー)の運転行動は「認知・判断・操作」の3段階のプロセスからなっていることはご存じだろう。つまり、早めのウインカーを出すためには、速い段階での情報収集と正しい状況判断が必要になってくるということ。そのためには電動バイクだからといって油断せず、運転中は意識を集中して「視界を広げて遠くを見る」ことも重要だ。 

もっと大事なのは「危険予測」。たとえば、次の交差点で横から人やクルマが出てくるかもしれないとか、先の見えないブラインドコーナーの途中に何か落ちているかもしれない、などといった予測を立てながら走ることだ。つまり「疑ってかかれ」ということ。「危険予測」は習慣化が大事なので、いつもそういう思考回路で臨んでほしい。 

電動バイクのメリットである「静寂性」が逆効果になることもある。ガソリンバイクはエンジン音や排気音がけっこう遠くからも聞こえるので、歩行者はもちろんクルマにも気付かれやすい。だが、僅かなモーター音しか出さない電動バイクは混合交通の喧騒の中ではまず気付かれないと思ったほうがいい。
 
では、どうするか・・・・・・。とにかく「自分の存在をアピールする」しかない。車体も小さいので、見落とされないように明るいカラーの服装を心掛けて、夜間であれば反射材入りのウェアを着たり、車体に反射ステッカーを貼るのも効果的。自転車のようにピカピカ光る発光ライトを腕に巻くなどして、積極的に自分を目立たせるような工夫もすべきだ。
 
この際、ホーンも善意で活用していいと思う。交差点の右左折やパーキング出入口などでも相手が自分に気付いていないようなら、軽くホーンを鳴らしてみてはどうか。「ビーーーッ」ではなく、「プッ」と短音1回であれば、相手も神経を逆なでされることはないはず。相手が譲ってくれたら気持ちよく手を挙げるなどしてお礼をしよう。そうした「円滑なコミュニケーション」こそが、事故を未然に防ぐことになる。
 

航続距離の問題もある。今のところ、電動バイクのバッテリー性能ではフル充電しても40㎞~50㎞程度しか走れない。もともとが短距離コミューターとしての役割を担うべき乗り物なので、これをどうこう言っても始まらない。ガソリンバイクのようにリザーブコックもないし、給油所が近くにあるわけでもない。自分でバッテリー残量の管理をしっかり行い、「早めに充電」する習慣をつけるしかないだろう。 

ざっと思いつくところを書いてみたが、結局はガソリンでも電動でも安全に乗り続けるための基本は同じであることに気付くはず。「譲り合いの精神」や「円滑なコミュニケーション」、「危険予測」や「運転計画」など、どれもがすべてのモビリティに共通したものだ。
 
電動バイクの特性を知った上で、あとは基本を守って謙虚にスマートに走ってもらえたら幸いである。いずれはガソリンバイクを上回るパワーと航続距離、そして安全性を持った電動バイクも登場してくるだろう。それまでは、この新しい乗り物の成長を楽しみにしつつ、みんなで電動バイク文化を作っていこうではないか。

文/ケニー佐川

 

執筆者紹介
ケニー佐川 (佐川 健太郎)

Web!ke みんなのスクール」校長
モト・マニアックス」代表
ライディングアカデミー東京」校長
MOTOCOM」編集長

国産・外車を問わずミニモトからビッグバイクまで、どんなバイクでも乗りこなすモータージャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。
16歳でホンダ初の2スト50ccスポーツモデル、MB50の“スピードとパワー”に魅せられて以来、バイク歴30年で乗り継いだバイク30台、テストライド経験300台以上。装備や用品、カスタムパーツのテストも数多くこなしてきた。
低速系からサーキットまでライテクに造詣が深く、ライテク関連記事も多数執筆。
メーカー系イベントや各種スクール、走行会などで講師を務める。「鈴鹿4時間耐久ロードレース」や「もてぎ7時間耐久ロードレース」など、モータースポーツにも積極的に参加。MFJ公認インストラクター。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。
愛車はトライアンフDAYTONA675、CB1300SF、エイプ100。63年東京生まれ。

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安全に乗るためには?


 

安全に乗るためには「バシャモブトウシ」?

電動バイクを安全に乗りこなすためには、まず車体がきちんと整備されているかチェックする必要がある。もちろん、製品としてメーカーから出荷されるときに点検整備はされているはずだが、自分が電動バイクのオーナーとなったからには最低限のことはできるようになっておきたい。手入れをすれば良好なコンディションで長く乗り続けられるのは、自転車でも電動バイクでも同じである。「バイク」というと何だか難しい気がするが、「電動バイク」の場合、構造は基本的にシンプルである。気軽にメンテナンスを楽しんでもらえればと思う。

 

走り出す前にはまず車体周りに異常がないかグルッと見回してほしい。教習所で習った「ネンオシャチエブクトウバシメ」という言葉を覚えているだろうか。運行前点検の基本項目を表したものだが、電動バイクも基本的には同じ。つまり、ネン(燃料)=バッテリー残量、オ(エンジンオイル)=無し、シャ(車輪)=タイヤの摩耗や空気圧など、チ(チェーン)=インホイールモーターの場合は無し、エ(エンジン)=モーターまわり、ブ(ブレーキ)=ブレーキの効きやパッド残量など、ク(クラッチ)=無し、トウ(灯火類)=ヘッドライト、テールライト、ウインカー類、バ(バッテリー)=「ネン」に同じ、シメ(締め付け)=ボルトの増し締めなど。

 

こうして書き出してみるとエンジンバイクと比べて、チェック項目が少ないことが分かるだろう。構造がシンプルゆえのメリットである。電動バイク流に言いかえれば、「バシャモブトウシ」=バッテリー、車輪、モーター、ブレーキ、灯火類、締め付け、等をチェックしておけばまず安心だろう。

 

特に「タイヤ」や「ブレーキ」の状態は走行性能や安全性に大きく関係するため、必ず目視してほしいところだ。また、バックミラーやサイドスタンドなども、長く乗っているうちに振動などで緩んでくることがあるため、たまにチェックしてみて必要ならば「増し締め」しておこう。バッテリー残量についてはメーター誤差が大きいことが多く、停車中と走行中で残量表示が異なる場合も少なくない。メーターはあくまでも目安として、早めの充電をこころがけたい。

 

こうした最低限のセルフメンテナンスをしておけば、大きな故障につながる前に異常を発見して対処しやすいし、愛車と触れ合うことで愛着も一層増すはずだ。そのためには、ひととおりの工具セットを揃えておいて損はないと思う。何も高価なブランド品である必要はない。バイク用品店などを探せば、バイク用のリーズナブルなセットがあるはずだ。もちろん、自分では対処できないようなトラブルや重整備の場合、電動バイクを取り扱っている専門のバイクショップで診てもらうことをおすすめする。楽しみながらしっかりメンテナンスして、安全で快適な電動バイクライフを始めてもらいたい。

 

文/ケニー佐川

 

執筆者紹介
ケニー佐川 (佐川 健太郎)

Web!ke みんなのスクール」校長
モト・マニアックス」代表
ライディングアカデミー東京」校長
MOTOCOM」編集長

国産・外車を問わずミニモトからビッグバイクまで、どんなバイクでも乗りこなすモータージャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。
16歳でホンダ初の2スト50ccスポーツモデル、MB50の“スピードとパワー”に魅せられて以来、バイク歴30年で乗り継いだバイク30台、テストライド経験300台以上。装備や用品、カスタムパーツのテストも数多くこなしてきた。
低速系からサーキットまでライテクに造詣が深く、ライテク関連記事も多数執筆。
メーカー系イベントや各種スクール、走行会などで講師を務める。「鈴鹿4時間耐久ロードレース」や「もてぎ7時間耐久ロードレース」など、モータースポーツにも積極的に参加。MFJ公認インストラクター。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。
愛車はトライアンフDAYTONA675、CB1300SF、エイプ100。63年東京生まれ。

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